狂気
今はもういない、わたしが大好きだった婚活アカウントの'うろんちゃん'の言葉で、なるほどと思った言葉がある。
「浮気をしたら殺す。」
また、誰かが言った。
'相手に死ねと言う人よりも、殺すと言う人のほうがきっと優しい。'と。
こうも思う。きっとそんな人は情深い。そして究極のさみしがり屋だ。
ーーー'愛'とはなにか。
聖書の一節にはこう書いてある。
愛は寛容であり、愛は情深い。またねたむことをしない。愛は高ぶらない、誇らない。不作法しない、自分の利益を求めない、いらだたない、恨みを抱かない。不義を喜ばないで真理を喜ぶ。
そして、
「すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える。愛はいつまでも耐えることがない。」と。
愛とは、相手の全てを'赦す'ことだと思う。
'許す'とは、ちがう。
理解されなくて哀しい。
理解し合えなくてつらい。
もう、傷ついてもいいと思った。
うそ、ほんとは傷つきたいなんて思ったこと、一度もなかった。
傷ついてぼろぼろになってみたい。
あんな奴、最低だったって言いたい。
そうさせてくれないあなたが、憎い。
そう思ってしまうわたしは、醜い。
愛情の反対は、憎悪だ。
そして、恋は狂気だ。
狂ってる、きみもあいつも、わたしも。
そんなことは、もう、お互い分かりきっている。当たり前で、当然で、今更だ。
それでも、分かっていたとしてもわたしたちはくり返す。どうしようもない。わたしたちは、ほかになす術を知らない。
泣いて解決する問題ならもうとっくに泣いている。それでもどうしようもなくて涙が溢れ出る。あなたがわたしを泣かせる。あなたしかわたしを泣かせられない。
顔を見るとことばは出なかった。
なにかを言い出す前に、代わりに、唇を塞いだ。
もうなにも聞きたくなかったし、もうなにも言いたくなかった。
あなたがいて、わたしがいて、もうほかにはなにも要らなかったから。