桜流し
あなたの唇と言葉。
わたしに希望を持たせたり、絶望させたりする。
会ったところでなにを話すのか、なにを食べ、なにを飲み、なにを思いながらお互い過ごすのか。
好きだったときはそんなこと気にもしなかった。会うことに目的は要らなかった。
いまは会うための理由をずっと考えてる。
物事はとてもシンプルだ。
'会いたいから会う'
きっとその言葉に、それ以上もそれ以下の意味もない。深読みする必要もない。本当にそうなんだろう。
あなたは残酷なのに、わたしはなぜか涙も出ない。
つらいときにはどうしたらいい。
泣いたらいい。
笑ったらい。
怒ったらいい。
そんな姿でさえ、あなたに見てほしい。
ただ、そんなわたしを見てほしい。
泣けない、鳴けない。
いまならあなたの手や唇が恋しい。
いまならわたしは憎まれ口を叩かずに、かわいく過ごせる。
いまならあなたが横にいてもわたしはきっとよく眠れる。
夜が少しだけやさしい。
朝にはきっと魔法がとけてしまうから。