いいわけ
夏。
海へ行き夏の日差しと生温かい潮風を感じたこと。
冬。
山へ行き星空を見上げたこと。
いつも隣りにいてくれた大切なひと。
つないだ手のぬくもり。
不器用な愛情。
守れなかった約束。
頬をつたう涙。
遠い日々への後悔。
それが、それらが、わたしが引き換えにしたもの。
わたしが、東京にいる理由。
たった一人を見つけるために、ひとりでいること。
目にうつるものは綺麗で、見たいと思うから余計なものは見えなくて、見たくなくて。
言葉はまやかしで、あなたを彩る。
君と歩いた暑い夏の日。
ベランダから見える夕焼け。
昼と夜が混ざりあう、紫と橙。
絡まる心と体。
にじむ汗と夏の匂い。
甘いカクテル。
星の見えない明るい夜空。
きらきらと輝くネオン。
ひとりで迎えた夜明け。
煙草の吸い殻。
この街は、つめたくて、やさしい。
窓の奥、遠くで輝くネオンはきらきらと眩しくて、まばゆすぎて、星さえも見えない、こんな街で、東京で。